2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

月庵禅師仮名法語(七)

〇 在家の女性に示す 自分の心は本来これ仏なのです。千回生まれ変わり一万劫という長い時間を経ても、けっして迷ったということはないのです。迷ったということがなければ、また悟らねばならない真理というものもありません。すでに迷いとか悟りとかいうこ…

月庵禅師仮名法語(六)

〇 妙光禅人に示す 先日の十八首の素晴らしい和歌は、言葉の意味が絶妙であり、特に目も心も驚かすようなものでしたので、重ねて法語一篇をお示しすることを承りました。山野は私の老いや病をともに害して、明け暮れ臥せり、心身はぼんやりとして、ただ愚か…

月庵禅師仮名法語(五)

〇 信女(1)慶明に示す 仏法というのは別の事ではありません。ただ自分の心のことなのです。自分の心を善く保てば、そのまま仏の心であり、自分の身を善く持てば、そのまま仏法です。自分の心を悪く持てば凡夫の心であり、自分の身の振る舞いが悪ければ、…

月庵禅師仮名法語(四)

〇 存上人に示す 仏道に向かうことにおいては、誠(まこと)ということを保つこと以上のことはありません。誠を保っていれば、すべての縁、すべての状況はみなそのまま仏道であって、このほかに別に道はありません。保たないときは、目に触れても道を得るこ…

月庵禅師仮名法語(三)

〇 宗三禅閣(1)に示す 大道には方向や場所はありません。目の前を離れることはなく、仏心に形はないのです。その物その物と一つになってそのまま道理にかないます。一念が生じなければ実体を脱して法身が露わとなります(脱体顕露)。疑いの心がわずかに…

月庵禅師仮名法語(二)

〇 慈雲禅尼に示す 世間は無常です。一切とどまることがありません。たとえば夢や幻、水の泡や影が在るかのようであっても実体がないようなものです。世の中の人々はこの道理を知らず、実際に自分というものが在ると思って、さまざまな貪欲や執着の心が強く…

月庵禅師仮名法語(一)

*月庵禅師(げつあんぜんじ:1326-1389)=臨済宗、月庵宗光(げつあんそうこう)禅師の仮名法語。底本:『禅門法語集 上巻 復刻版」ペリカン社、平成8年補訂版発行〕 *〔 〕底本編者による補足、[ ]はブログ主による補足を表す。 ( )付数字はブログ…