2020-01-01から1年間の記事一覧

大応仮名法語(四)

〇尋ねて言った。大用現前(だいゆうげんぜん)の所(真如の大いなる働きがはっきりと目の前に現れたところ)とは、どのようなものか。 〇答えて言った。銀山鉄壁(ぎんざんてっぺき)(銀の山、鉄の壁)。 〇尋ねて言った。悟った時も銀山鉄壁、悟らない時…

大応仮名法語(三)

〇尋ねて言った。仏祖不伝の所(仏陀や祖師たちが伝えなかったところ)とはどのようなものか。 〇答えて言った。やって来て尋ねるならば、もう天と地が遥かに隔たってしまう。意図をもって求め、意識して求めるなら、棒を振りかざして月を打ち、靴を隔てて痒…

大応仮名法語(二)

〇問う人が言う。あらゆる物事は想念を持たず無心で、良し悪しの分別はないが、我々はそれらの物事に対してすべて良し悪しの分別がある。どうして物事と一体であるはずがあろうか。 〇禅師が答えて言う。我々が見聞きしたり気付いたりする精神の働きは、こと…

大応仮名法語(一)

*大応国師、南浦紹明(なんぽしょうみょう:1235-1309)禅師の仮名法語。底本:『禅門法語集 中巻 復刻版」ペリカン社、平成8年補訂版発行〕 *〔 〕底本編者による補足、[ ]はブログ主による補足を表す。 *はブログ主による注釈。 ーーーーーーーーー…

塩山仮名法語(12)=終わり

井口殿へのお返事 百二十四 お手紙、詳細に拝見しました。このように熱心に参究なさいますこと、貴重なことと存じます。そもそもお手紙を拝見しましたところでは、少し似ているところもございますが、それもただ心が知るところでございます。一大事は、心の…

塩山仮名法語(11)

井口禅門(いのぐちぜんもん)への返答 百十一 お手紙で詳しく承りましたところ、あなたはまだこの公案の的を射ていないようです。六祖慧能禅師がおっしゃいました。「幡が動くのではない。風が動くのではない。あなたがたの心が動くのである」と*。もしこ…

塩山仮名法語(10)

正法庵主が強いて望むのでこれを与える 九十七 少年の頃から一つの疑いが起こっていたのです。そもそもこの身を差配して、「誰であるか」と問えば「私だ」と答えるものは一体何ものかと、一念の疑いが起こり始めてから、歳を重ねるままに疑いが深くなってい…

塩山仮名法語(9)

八十一 初祖達磨大師が言う。一切は空であると言って因果を知らない人は、無間暗黒地獄(むげんあんこくじごく)*に落ちると。たとえ口で言うところが似ているといっても、情識**によっていることはどうしようもない。初心の求道者の多くは、仏法の本性が…

塩山仮名法語(8)

一方居士本間将監(いっぽうこじほんましょうげん)に示した教え 七十二、面と向かい合って直に会っているもの、彼は一体だれか。言うことができたとしても誤り、言うことができないとしても誤りである。結局どうだ。 七十三、説法のあることを知らせる幡竿…